euphoria

音楽と人生と情緒

Little Cry Baby

 

 

訃報を聞いてから今に至るまで、とにかく言葉が溢れて止まらない。ヒトリエは間違いなくわたしの核を形成するバンドのひとつだった。それをひたすら痛感している。

 


ヒトリエが“大好きなバンド”になったのは『IKI』が出たとき。初めて聞いたときの高揚、やべー!!って気持ち、今でもはっきり思い出せる。高校の通学中だった。冬。興奮してすぐ音楽の趣味の合う友だちにLINEした。今すぐ聞いてって。それまでのヒトリエも好きだったけれど、ずっとわたしが聞きたかったのはこんなヒトリエだったんだって気がついた。ノータイムでリリースツアーのチケットも取った。

ライブがまた衝撃だった。音源はみっちり聞き込んできたつもりだったけれど、ライブハウスにいたのはわたしの全く知らないヒトリエだった。これまでライブに行かなかったことを強く後悔した。わたしにベースヒーローができた。こんなに格好いいライブをするバンドなのにチケットソールドしてないのなんておかしい!全員IKIツアー行け!てかIKI聞け!って勢いで文章を書いたりもした。

 

 

久しぶりに読んだら下手くそすぎて笑ってしまう。でも、わたしのヒトリエへの好きが詰まっていて少し涙が出た。わかる。全部分かる。

 

 


IKIでバンドとしてひとつの到達点に辿り着いたと思ったのに、変わり続けることを止めない彼らはいつまでも新しい扉を叩き続けていたし一枚一枚開いていた。IKI以降リリースされた『ai/SOlate』も『HOWLS』もぜんぶ最高だよ。曲も、バンドのスタンスもすべて。wowakaさんの絶対的な才能を大前提に、他の3人の個性も猛烈に混ざり合って 10×10×10×10=10000 って掛け算が次は 100×100×100×100=100000000 になるように、いつまでもどこまでも前に進んでいくバンド。ヒトリエのwowakaが好きで、ヒトリエのシノダが好きで、ヒトリエのゆーまおが好きで、ヒトリエのイガラシが好きだった。

 

 


ai/SOlateのリリースツアーでwowakaさんは「やっと愛を歌えるようになったよ」って、また一段階強くなった目で言っていた。誰よりもきらきらした顔で、幸せオーラを全身から放って、愛おしそうにフロアを見つめるwowakaさんが大好きだった。言葉、表情、動き、彼の全てに何一つ嘘がないところが大好きだった。もうヒトリエで曲を作れないこと、ライブが出来ないこと、きっとwowakaさんが一番悔しがっていると思う。表現するために生まれて、その時いちばん輝くいのちを持っていたひと。本人もそれを理解していて、何も隠さず全てさらけ出してくれる強いひと。ライブ、あと何度だって見たかった。この先、歳を重ねてライブをしなくなったとしても、あの4人で音楽を作ることはいつまでも止めないと思っていた。

 

 


発表があった日、IKIリリースツアーからずっとヒトリエの来札に一緒に行っている友だちと飲んで、散々泣いて、それからやっぱりヒトリエは最高だねって話をして笑って、音源聞きまくって、やっぱり好きだなあって、あたたかい気持ちになって眠った。なんとなく大丈夫なような気になって。けれど、次の朝、目覚めた瞬間胸の中が悲しいでいっぱいになって呆然とした。ヒトリエの夢を見たわけでも、起きると同時にwowakaさんのことを考えたわけでもなかったのに。誰かがいなくなるというのはこういうことなんだと知った。wowakaさんを愛したすべての人に、もう元通りの日常は戻ってこないということ。wowakaさんがいなくなる前と、後。そうやって生活は続いていくんだということ。

ゆっくり休んでなんて言えない。wowakaさんは絶対にもっともっと生きたかっただろうから。あなたの分まで、なんて尚更。胸を張って言えるのは、わたしはずっとずっとヒトリエが大好きだってそれだけで、それってwowakaさんがいなくなる前となんにも変わらない。でも、それでいいなと思った。

 

 


死ぬまで全力で生きるから、向こうでまたライブ見せてください。チケットは大事に取っておきます。

そして、終わらないでくれるらしいヒトリエのこの先が、どうかあたたかい光で包まれていますように。

 

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